スペシャルな着物用カメラバッグを作るため、グラデーションの革を探していました。
レザーフェアという革の展示会で出会った「馬革」専門のタンナーさんにそのお話したところ、作ってくださるとおっしゃるので、夢ではないかしら？！と思っていましたが、

届きました。

夢ではなかったのです！

馬一頭の半分がこの大きさ。ご覧の通り、牛よりもスマートで長い。馬革と言えば堅牢なコードバンがあまりにも有名ですけれど、それは馬のお尻の革。ホースレザー（馬全体の革）は、しなやかできめ細かく、軽いのが特徴です。ただ、牛と違って走り回っているので、傷が多いというデメリットがあります。この届いた革も柔らかくて手にすいつくようにしっとり、そして、思った以上に傷が少ない事に驚きました。
「着物に持つバッグだからきれいなのが欲しい」と、さんざんお話していたので、傷が少ない革を探してくださったのですね・・・感激でした。そして、私も精一杯きれいに作らなくては！と決意を新たにいたしました。

こちらが、依頼したモノトーングラデーションの図案で、

こちらが染めてくださった革。
いかがでしょうか？

指定した色と質感見本。
実物はかなり近い色で仕上がっていました。

以前アパレルでお仕事をしていた頃の事。生産分の生地やパーツの染め見本が届いて、一発でOKだったことはほとんどなく、何度もやり直してようやく色が合った事を思いだすと、これは驚異的な色出しです。

　　　　　　　　　　　　　　　<都立皮革技術センターでの勉強会の写真です。>
革を1枚仕上げるまでの工程は、プロフェッショナルであるとはいえ、大変な時間と労力がかかります。

　　　　　　　　　　　　　　　<都立皮革技術センターでの勉強会の写真です。>
同じ革は１つもなく、１枚、１枚、大きさも形も厚さも違うので、手作業で、そして目で確認しながらしかできないことも多く、

　　　　　　　　　　　　　　　<都立皮革技術センターでの勉強会の写真です。>
仕上がり具合を決めるのは、職人さんのその手と、知識と、経験。手間も心もかけて、ようやく美しい革が出来上がるのです。こちらの棚には仕上がりを決めるための、私にはわからないいろいろなものがたくさんありました。（すみません。勉強不足でご説明できなくて・・・）

　　　　　　　　　　　　　　　<都立皮革技術センターでの勉強会の写真です。>
例えば、革の仕上げにはこんな油を使う事もあるのですが、どの油をどのくらい使うかというのも職人さんの経験から判断するそうです。
え！革にタラの油？と思われるかもしれませんが、もしかしたら、そんなあなたの革の鞄にも魚の油が使われているかもしれませんよ。(笑)

　　　　　　　　　　　　　　　<都立皮革技術センターでの勉強会の写真です。>
これはガンスプレーで革を染色しているところ。
吹き付け方も横に吹き付けたり、斜めに吹き付けたり、そして染めたらすぐに乾燥室へというのを繰り返します。その後、定着液を吹き付けて、また乾燥室へ。　何度も何度も手間をかけて染めることによって美しい深い色に仕上がるのですね。でも、これもまだまだ第一段階でしかありません。色によってはこの後もさらに染色と乾燥を繰り返し、ポリッシングマシンで磨き、アイロンプレス、そしてトップコートを吹き付けて、また磨いてアイロン、という工程を経てようやく艶のある美しい革になっていくわけなのです。

先生は、らくらくと染めているように見えますが、このガンスプレーの噴射力ときたら、染料の霧であたりの空気まで染まってしまうようなものすごい勢いなんですよ～

私もやってみました。
ガンスプレーのものすごい噴射力にふきとばされそうになりながら染色し、特別なアンティック加工をほどこした革です。仕上げ加工もプレスもしているのでツヤツヤでしょう？　でも、とにかく手間が、、、愛がなくてはきれいな革は作れませんね。
革は愛の結晶です。

というわけで、この白と黒のコントラストのあるグラデーションを染めてくださった職人さんにお会いしてお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいになっています。　そして、出来るものならどうやって染めたかお聞きしたい。
今回、こんなに素敵な経験をさせていただいたので、私もバッグ制作を頑張れました。仕上がったスペシャルなバッグはまたブログで～♪