とてもおしゃれな男性の方にご依頼をいただき、お仕事用のトートバッグ、パソコンケース、お揃いのポーチを作らせていただきました。

使用した革は、ご自身でセレクトされた春の夕暮れの空の色のようなネイビーブルーのカーフです。

お仕事に持って行くのは、パソコンとコード、書類、本、折りたたみの傘にペットボトル、お財布、鍵、携帯電話、その他色々。全部入れるとかなりの重さ。

私も荷物が重いタイプですが、その3倍位はあったかなぁ　もうびっくり！

ですから、大容量で、重さに負けない作りであること。

持ち手は肩にかけられて、でも長過ぎないサイズ。

バッグの口は天マチつきでファスナーで閉じられるように。

底鋲。

今お使いのバッグを見せて頂きながら、デザインを決めて、まずはプロトタイプサンプルで確認していただきます。こうしてブラッシュアップしていく作業が、実は一番難しく楽しいところ。

今回は、このサンプル（シルバーの迷彩）も使ってみたいとの事で、こちらも納品させていただく事になりました。（サンプルを納品するなんて初めて！ありがとうございます。（笑））

内装のご希望はシックなレッドのレーヨンシャンタン。茜色から群青色に変わっていく空のようにドラマティックな配色でしたね。

バッグの内側には、可動式の仕切り。マチ部分にペットボトルと折りたたみ傘用のポケットがひとつずつ。ここの内側には撥水生地を使用しましたので、少々濡れても大丈夫なんですよ。

携帯用のポケットに、鍵など大切な物を入れるマチ付きファスナーポケット。パスケース用ポケット。

しっかり堅い底芯を使ったので、肩に掛けて体に当たる部分(脇？)が痛くないよう、少しカーブをつけた形にしています。

パソコンケースと、コード用のファスナーポーチ。

こちらの裏地に使ったのは赤のフェイクスエード。フランスのインテリアファブリックで、ワインを思わせるようなラグジュアリーなレッドです。

パソコンケースはMacbook pro 13インチ用。

パソコンをケースに入れたまま携帯の充電が出来るよう、USBの部分にスリットをつけました。開閉は、Macbook pro のデザインによく似合う極薄の円形マグネット。

このアイテムでは、マグネットの仕様にかなり悩みました。マグネットを内側に入れて仕立てるか、外に出すか？どこまで薄いものが見つかるか？　形は？　大きさは？　雰囲気は？　使い勝手は？　耐久性は？　もし、マグネットを使わないとしたら？
小さなパーツひとつを決めるにも、「これだ！」となるまでに、時には何日もかかってしまう事もあるんですよ。

ファスナーつきの天マチ。　何色と言ったら良いのか、、、この素敵な色に合わせたファスナーも、注文してから１ヶ月半待ってようやく届いたもの。

スペシャルピースの製作は、こんな風に時間がかかりますが、ご相談しながら一緒に作っていく時間が楽しい。と言っていただけて、いつもありがたく製作をさせていただいています。

ファスナーを切って、スライダーを通して仕立てるのも私の仕事。慣れない頃は、ムシだけを上手に切れなくて、ファスナー布がボロボロになってしまう苦手な作業でしたけれど、今では反対にこれが好きなくらい。

実は、このバッグを作らせていただく事になったのは、一昨年の冬に女子クリエイターに人気のWebマガジン『箱庭』が開催している「箱庭のガッコウ」での事。

センスの良いクリエイター女子の中に、全く違和感なくとけ込んで参加されていた一人の男性がいらっしゃって、お話したのがきっかけでした。

人の出会いは不思議ですね。会社でのお勤めをやめてから、時間通りに走っている電車から、どの道を通るのかよくわからないバスに乗っているような、そんな気のする毎日を過ごしています。

大人になるほど思うようになりました。生きている事は謎だらけで、明日何が待ってるか全然わからない。だからおもしろいなぁって。