職人は道具も作る

今回は、マニアックもの作りブログです。
革のもの作りをするようになって、「職人は物だけじゃなくて道具も作るんだよ。」 と言われました。

「道具を作る」といえば、忘れられないのが、以前アパレルで働いていた頃に出張した縫製工場での事。そこには、ミシンや押え金を加工したり、道具を作る場所があって、きれいに仕上がる道具や、作業がはかどるような仕組みを考えたりしていました。「うわー あんな風にミシンのパーツを削っちゃうんだー すごーい。」 と驚いていると、「ここで工場の価値が決まるんだよ。」と先輩が教えてくれました。そう聞くと、道具を工夫して作る仕事は神々しくとても近寄りがたく感じたのでした。

それから時が経ち、自分がもの作りの仕事をするようになって、「道具は大事」と痛いくらい感じるようになりました。でも、「もうちょっとこうだといいのになぁ」と思っても、金属を削って道具を加工する勇気はなかなか出ません。

仕方ないので、「道具を作るなんて無理だから、既製の道具で上手に作れるように頑張らなくちゃ」と、工夫する毎日を過ごしておりました。

でも頑張っていても、それだけでは前に進めない時がやって来ます。

ありがたいことに、お財布の先生に教えていただける事になったので、まず作ったのは竹ベラきざみ稔という基本の道具。革小物の細部をきれいに仕上げるには、どうしてもこれが必要なのでした。

竹を削って理想ののりベラを作ります。作業イメージは鉛筆削りの要領。うん、それなら出来る!と思いましたけど、竹はとても硬く、きれいに作るにはかなり骨が折れました。

金属のヘラを削って理想のきざみ稔も作ります。金属って、私に削れるの?と思いましたが、あーらびっくり。竹より簡単に削れちゃって目からウロコ・・・・

うわー 金属削るの、出来るんだ!

なんでもやってみないとわかりませんね~ ほんとうに、やってもみないで出来ないなんて思っちゃダメ・・・・・

きざみ稔という道具は、革小物の角(コインケースの角をご覧ください ↑ )の革を細かく寄せてきざみ、菊の花が咲いたように美しく仕上げる道具です。

それから半年が過ぎ、もう金属を恐れない私は、アイロンと捻引きの道具も加工しました。
これは、和裁のコテと同じくらいのサイズの小さなアイロン。和裁のコテはそのまま使っていましたが、これは革に傷をつけないように全ての角を丸くしました。そうなんです、温度に気をつければ革ってアイロンをかけても大丈夫なんです!

それから一本稔を削り、

これは、折り返した革ぎりぎりにラインを引くのに使います。

玉稔を削り、

これは、縁にラインを引くのに使います。 両方とも接着を高めるのと、きれいに見せるために使います。
このラインがあるのとないのじゃ顔は別人。使用前、使用後。素顔とアイラインの入った顔。 くらいの違いになっちゃいます。

革漉機の押さえも削り、
丸くしました。これも角が当たらないように。
こうして、いろいろなものがもっともっときれいに作れるようになって本当にうれしい。
大人になっても、出来るようになることが増えるって幸せなことですよね~

作っている時、先生が自分の先生の事を話してくれる時間もとても好きでした。
「この道具の作り方はずっと前に師匠から教えてもらったんだよ」って。
先生にも、そのまた先生にも本当に感謝です。 先生、大先生ありがとう~

さて、道具も出来たし、
いま、これまでとはちょっと違うワークショップの企画を考え中ですよ ♪ ♪ ♪
作るの大~好きなみなさま、作ってみたいと思っているだけのみなさまも、ぜひ楽しみにしていてくださいね~

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