サントリー美術館で「ガレも愛した―清朝皇帝のガラス」展

 

先日、古くは紀元前から作られていたという中国のガラス展に行ってきました。

英語でchainaと言えば陶磁器を意味するくらい、中国は陶磁器というイメージがありますけれど、ガラス細工もこんなに個性的で素晴らしい作品を作っていたなんて! 私にとっては驚きの展覧会でした。

展覧会のテーマは3つです。

一つめ、長きに渡る歴史の中で残存している、希少な古代の中国ガラス。(本当に紀元前)

二つめは、もっともガラス工芸が発展した清王朝時代の作品の数々。

三つめは、ガラスといえば、あまりにも有名なアール・ヌーヴォーの芸術家ガレの作品が、中国・清朝ガラスからどのように影響を受けていたかという切り口の展示となっていました。(↑エミール・ガレの図録です。)

こちらは展覧会のポスターですけれど、説明を読まなければガレの作品だと思ってしまいそうな美しさじゃないですか?という私はそうだと思いこんでいました。でも、これが清朝ガラスなのですよ!あぁ アール・ヌーヴォー~   じゃない、清朝ガラス〜

清朝ガラス。

ダイナミックな美しさと、どっしりしていてユニークな形。模様はお隣の国だけに親しみのある図案ばかり。

写真撮影OKのコーナーもあったので、いくつかご紹介しますね♪

清朝ガラス 不透明なのは当たり前。

ガラスは繊細で透明、という概念を覆すマットなカラーがオンパレード。 透明な作品はほぼありませんでした。見た目陶器、あるいは漆作品。でもガラス。


清朝ガラス はかなり分厚い。

こんな黄色いガラス見たことない!でも、引き込まれるくらいにきれいな色でした。説明を読むと、皇帝だけが使う事の出来る色だったと聞いて納得。「皇帝のためのガラス」ってわけですね。

この口の分厚さにも注目です。どれも作品は分厚くて、儚いというよりどっしり感。(割れないようにかな???)

清朝ガラス はカメオだった。

この模様は彫刻です。貼りつけたわけではないのです。 彫るって考えると、カメオみたいな感じですよね。 割れたら終わりでしょう?
この分厚いエッジが、直角なくらい真っ直ぐ彫りこまれているのもすごくないですか?
しかも、削ったらガサガサになるであろうガラスが、こんなにつるつるなんて、どれだけ磨いたんでしょうね~

清朝ガラスはヨーロッパの香水瓶のルーツ。

展覧会の出口直前、最後の展示がまた良かったのです。「清朝ガラスの小宇宙(ミクロコスモス)」鼻煙壺(びえんこ)を紹介するコーナーです。

まるで夜空に浮かぶ星を見るような展示に、どなたも足を止めて「かわいい!」と目を凝らしておりました。

鼻煙壺とは、嗅ぎたばこを入れる手のひらサイズの小さな壺です。

嗅ぎたばこは粉末状で、嗜好者は好みの香料や薬草を混ぜて作り、吸い込んだり、鼻孔にすりつけて嗅いだりして楽しむものだったそうです。アメリカ原産のたばこは16世紀半ばごろにヨーロッパに、17世紀後半に中国に伝来して、清朝の宮廷内で大流行した後、一般社会にも普及しました。

その容器である鼻煙壺は、中国の清の時代に主に王室で作られ、海外からの外交使節にお土産としてよく渡されていたそうです。
そして、中国独自の伝統的な技法で作られた鼻煙壺は、ヨーロッパの王室や貴族の間で非常に貴重な物として珍重されコレクションされていたとか。

この華やかな美しさ。まるで映画「花様年華」のマギー・チャンみたい。

エミール・ガレの黒いガラスのシリーズは、こんなところから来たのかと絵や配色などを眺めてしまいます。

白いガラスの上に、青いガラスを被せて彫刻。赤い蓋がさくらんぼ、いえ、宝石のようですねー

こちらはブルーの被せガラスに彫刻。この瀟洒な雰囲気…なんだかタバコを入れたくないような(笑)

黒に赤の被せガラス、花も鳥もデザイン化されているところが可愛いんです。

清朝ガラスの技と粋が凝縮されてる鼻煙壺。見ているだけで良い香りがしてきそうな小さな小瓶。これからは、アール・ヌーヴォーの香水瓶を見る目も変わりそうです。

これまで中国の文化にはあまり興味を持っていなかった私ですが、この美しさが作られた清朝時代って一体どんなだったのでしょう。古代中国の本を読んでみたくなってしまいました。

おすすめの本があったら是非教えてくださいね。

 

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