旅するヴェネチアンビーズ展
町田市立博物館で、「旅するヴェネチアンビーズ展」が開催されています。町田駅からバスで10分の場所にある小さな博物館の静かな展示会。
人が、時間と心と手をかけて作った物の心に沁みる美しさ。写真撮り放題なのもあって、たくさん写真をとりました。その中から私のお気に入りだったビーズをご覧いただきたいと思います♪
ビーズの歴史は古く、人類最古のビーズは7〜10万年前の貝殻製だったとか。自然の中に、こんなに可愛い貝殻や石のかけらを見つけたら、宝物にしたくなっちゃいますよね~
古い時代のビーズはお守りの意味もあって、目の模様(丸い模様)が多いのです。祈りを込めて模様をつけたり、布に織り込んだり、ひとつひとつに想いがこめられている事がわかると、10万年の時を超えて気持ちが伝わってくるような気がします。
歴史と共に変化して行ったヴェネチアンビーズを、制作技法と共に見る事が出来る展示も多数ありました。ガラスなので、どの技法も火で加工するものばかり。指が焦げてしまいそうな細かい手仕事で作られているデザインもあって、その繊細さには目を見張るばかりでした。
ヴェネチアンビーズは、12世紀頃(日本は鎌倉時代) から貴族の装飾品として作られ始め、後に貿易の貨幣の代わりとして、アフリカや東南アジアに向けた鮮やかな色のビーズが大量に作られるようになり、最盛期を迎えたそうです。
きれいな色ですね~ こんなにも時を経ているのに、この鮮やかな赤!
その後一時期衰退するものの、レース模様や花の模様で飾られたエレガントなビーズ、コンテリエと呼ばれるけしの実のような極小ビーズがフランスのブルジョア層の心をつかみ復活します。ヨーロッパテイストのビーズは優美な配色。
そして、20世紀のアール・デコ時代にはダンスが大流行して、動きにつれて煌めくビーズ刺繍がドレスや装身具を飾ったので、大量のコンテリエが輸出されました。みなさまご存じの「華麗なるギャツビー」の時代です。このネックレスは、糸に通したコンテリエを何本も使って編んだデザイン。 組紐みたいですごく細かい〜〜〜
こちらは、箔入りのビーズ。
丸い模様が金平糖のように飛び出したビーズ。これも目のデザインシリーズですね。
糸のように細くしたガラスを巻きつけた毛糸玉デザイン。ヴェネチアンガラスはよく伸びるので、こんな細工が可能なのだそうです。
20世紀には、コスチュームジュエリーも登場しました。 コスチュームジュエリーは、本物の貴石・宝石を使わないジュエリーです。このネックレスはココ・シャネルのデザインですよ。女性をコルセットから解放したデザイナー ポール・ポワレが最初にコスチュームジュエリーをファッションの世界に取り入れたのですが、世の中に大きく広めたのはココ・シャネルでした。彼女自身が人造真珠のネックレスをつけていて、それがとても素敵だったというのが大きかったのだと思います。
シャネルのカメリアの元になったと言われるデザイン。(ヴェネチアンビーズではありませんが参考として出展されていました。)
コスチュームジュエリーと言えば、最高に素敵なのがミリアム・ハスケル。こちらはヴェネチアンビーズ。
きゃー!!!一目でミリアム・ハスケルとわかる配色とデザイン。おしゃれー
けしの実ビーズもハスケル様にかかるとこんなアクセサリーに!
ミリアム・ハスケルも、パートナーのデザイナーフランク・ヘスも人造真珠が大好きだったみたいです。
そして、その真珠は日本で作られたものでした。
やっぱりね~ 真珠のような繊細な美しさを作るとしたら、世界で一番上手なのは日本人だと思います。←断言
町田博物館での、ヴェネチアンビーズの旅。
以前旅したヴェネチアでの想い出には、なぜかビーズの事は全く残っていなくて、狭い路地で迷子になっていたら日が暮れてしまった事や、海に浮かぶ街の不思議な風景の事ばかりでしたけれど、いつかもう一度訪ねることがあれば、ガラスやビーズに是非ふれてみたいと思いました。
最後に、Dior 2018SSのイメージフィルムからヴェネチアンビーズの美しい映像をどうぞ。
「旅するヴェネチアンビーズ展」は6日まで。
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