STORY3 思いをカタチにして届けたい
自分では気づけなかった、私自身の強みとは…
「私の強みってなんだろう?」
この仕事をやっていこうと決めた私が、乗り越えなければならなかった最初の壁はこれでした。
お客様とのご縁をいただくためには、まず「私だからこそ」の価値を伝えていかなければなりません。
ですが、人の魅力を見つけるのは得意なのに、自分のこととなると全くわからないのです。
長年、ブランド価値を高める仕事に力を注いではきたものの、考えれば考えるほど、ブランディングの専門家ではなく、モノ作りの専門家になってしまう…。
どうすればいいのかと二の足を踏んでいたある日、私の強み探しに力を貸してくださる方が現れました。
それは、共にブランディングを学んだ仲間であり、現在ブランドマーケターとして活躍されている女性。
そんな彼女に私の過去を掘り下げてもらう中で、自分では気づくことのできなかった、強みの源泉となる価値観(コアバリュー)が見つかったのです!
私が心の奥底に秘めていたコアバリュー、それは…
「思いをカタチにして届けたい」というものでした。
長い間、私は作ることが好きだからモノ作りの仕事をしているのだと思い込んでいたけれど、実はそうではなかった。
子供の頃からずっと、思いをカタチにして届けたくてモノ作りをしていたのです。
ブランディングの仕事に必要な「その人らしさを表現すること」を、私はモノ作りを通して長い間やってきていた。
探し求めていた私独自の強みは、そこにあったのです。
過去の選択には、全て意味があった
幼い頃、厳しい母親から否定され続け何も言えなかった私にとって、手を動かして作る折り紙工作や手芸、余り切れで小物を作ることが、心の中にある思いを形にできる唯一の手段でした。
幼い私には、本当は自分の思い描いた世界があった。
けれど、言葉では何を言っても認めてもらえず、思いを伝えることができなかったのです。
あの頃の伝えられなくて苦しかった気持ちは、時が経つにつれて、
「思いを伝えられず困っている人を助けたい」
「『あなたはこんなに素敵な人ですよ』とカタチにして見せてあげたい」
という気持ちに変化していました。
振り返ってみると、人生の岐路での選択は、いつもその思いが軸になっていたことに気づいたのです。
なぜ、デザイナーではなく、描かれたイメージを具現化するパタンナーの仕事を選んだのか。
なぜ、手間がかかり利益を出すのが難しいことがわかっていながら、ゼロから素材も形も決めていくフルオーダーメイドのモノ作りにこだわってきたのか。
なぜ、マーケティングや心理学、ライティングなどビジネスに関する学びの中で、最もブランディングに惹かれたのか…。
無意識でしたが、私はいつでも「人の思いや個性的な魅力を形にして届けたい」という一貫した理由で、仕事を選択していました。
「全て、つながっていたんだ…。」
それがわかったとき、私はこれまでの人生に深く納得しました。
自分というパズルのピースが、全てはまった。
そんな感覚を覚えたのです。
宝物のような思いを、最高のカタチにして世界に届けたい
自分のコアな価値観がわかったことで地に足がつき、私は「モノ作りをしてきた自分だからこそ、この仕事をやっていける」と自信が持てるようになりました。
ブランディングともの作りは一見異なるように見えますが、素材の長所も短所も把握し、魅力を最大限に引き出して絶妙に組み合わせ、最高の形を作るという点では同じ。
人かモノかの違いはありますが、ブランディングもオーダーメイドの仕事も、私がこれまでずっとやってきた「その人らしさを魅力的なカタチにして届ける」仕事なのです。
しかも、モノ作りとは違い、ブランディングは未来を一緒に創る仕事。
その人が持つ真の価値を伝えていくことで、ご本人はもちろん、その方のお客様の未来にもつながっていくのです。
言葉で思いを伝えられず、つらかった子供時代の記憶は、「思いをカタチにしたい」という強い価値観として私の中に根付きました。
そのおかげで今、私は心からやりたい仕事に携わることができています。
人は誰でも、つらく悲しい思いや、忘れられない記憶があり、それを見ないようにそっと心の奥底にしまっていることが多いものです。
ですが、実はそれこそが、その人にしかない魅力を作っている宝箱なのです。
今日も私は、素敵な「想いのかけら」を見つけるためにアンテナを張り巡らせています。
ブランディングという仕事を通じて、宝物のような「かけら」を組み合わせ、どこにもない最高のカタチにして届けたい。
人と企業の秘めた可能性に光を当て、新しい未来を共に創るために。